公開: 2021年4月24日
更新: 2021年5月16日
18世紀まで、ヨーロッバ諸国は、各地域の王が統治する王国であった。18世紀に入って、アメリカ大陸にアメリカ合衆国が建国され、イギリスでは、議会制の国家が成立、フランスでもフランス革命の結果、共和制の国家が誕生した。それらの国々では、統治の主体は、国王や住民の選挙で選ばれた代表であったが、国民は、もともとその地域に住んでいた人々であった。そのように住民を国民として認め、国民から集めた税で政府の運営を行い、国民の中から軍の兵士を集めて国家の存続と独立を守るようになった。従来の制度では、小さな領土に分割されていた国々は、より大きな単位にまとめられ、そこに住む人々を国民としたのである。
そのようにして成立した国民国家は、大規模な軍隊を編成することが可能になったため、軍事力も強大になった。また、国民の数が多ければ、経済力も大規模になるため、大国に成長し、国民も豊かになる傾向が生じた。それまでの世界では、大国であったスペインは、領土を拡大し、植民地で生み出される富を集約するだけで豊かになったが、18世紀になると、富は、国民の人口で勝るイギリスやフランスへと移動した。さらに、産業革命によって経済が飛躍的に拡大したイギリスは、富の蓄積が目覚ましく、世界を制覇する国家になっていった。明治維新に政権を担うことになった明治政府の人々も、そのことを肌で感じ、日本を国民国家にするべきであると考えた。